

小笠原のレモンが今本土でブームになっているという。輸入品などで叫ばれているポストハーペストの危険性が皆無の上に、極めて美味な小笠原のレモン。無農薬で、しかも完熟してからもぎ取るという、いまどき何とも贅沢な栽培法である。もぎたては青いが、次第に黄色に変わる。完熟なので実が丸くて大きく、一個を擦ればコップ半分以上にもなる。ビタミンCも豊富、ハチミツを加えたジュースも美味だ。「小笠原ならではの味を持つレモンを追求したいんです」と、小笠原母島で民宿「ママヤ」を営み漁師でもある折田一夫さんの夢は広がっている。
折田さんは、一昨年からレモンを使って自家製の手づくりの「レモンジャム」も商品化している。小笠原の特産品としてパッション・フルーツやパパイヤなども人気があるが、亜熱帯の気候風土に適した作物として小笠原産の「レモン」はこれらにも増して地元の産品として有望だ。
折田さんがレモン栽培に取り組んだのが平成四年頃からだ。レモン栽培は八丈島経由でサイパンの苗を取り寄せたのがきっかけだった。「小笠原が返還された翌年の昭和四十四年、本土から島に戻ってメロン、かぼちゃ、トウモロコシなど色々な作物に挑戦しました。趣味程度で何度かレモンを作ってはいましたが、サイパンレモンに出会って、島の特産に必ずなると直感しました」と話す。
畑に案内してもらうと、タマナやガジュマルの巨木に囲まれた道を歩く、その先に広がった所に一夫さんのレモン畑があった。五〜六百本もあるだろうか、レモンの木にたわわに実ったレモン畑が一面に広がり、その様相は感動的でさえあった。木にとまった丸々とした実をひとつも切り試食してみた。 皮が薄く、とにかく果汁がたっぷりなのに驚いた。輸入物の両端が尖った、酸っぱい黄色いやせたレモンとは似ても似つかないものだった。
本土から千キロ離れた小笠原では、輸送手段は六日に一度の25時間半かかる定期船「おがさわら丸」だけ。小笠原で収穫される日持ちのしない作物や、果実は商品化するにはかなり限界があり難しいが、その点、収穫してから約二週間は楽に持つレモンは、出荷作物としては理想的である。
約20個入りのレモン一箱4.0kで¥4.500前後(送料込み)と値段は安い。大量生産ができないが五百グラム入り「レモンジャム」は、一瓶六百円。小笠原の味と香りを求めて買っていく観光客が結構いるという。【本紙・山縣 浩】
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折田農園・エ・04998-3-2157